初速も出球も高くて、7番アイアンで190ヤードをマークした「Ai300」
女子プロやアマチュアに人気の「X FORGED STARアイアン」と、同じロフト帯(7I=29度)の「APEX Ai300アイアン」を打ち比べたときの弾道データを検証しよう。
今回のテストはどのモデルも7Iで、ドライバーのHSで43m/s前後のイメージ。弾道測定器は「スカイトラック」だ。
“軟鉄一枚モノ”のキャビティ「X FORGED STARアイアン」について、芯で捉えたときの180ヤード越えはさすがの飛び系フォージド。打ち出し高さは抑えられたが、スピンが程よく入って球が浮いた。
同じく、ややストロングロフトの「APEX Ai300アイアン」を打つと、芯を喰っていきなり190ヤード! 初速が速くて打ち出し角が高くなり、スピン量がやや抑えられてほぼストレートに飛んだ。
続いて、打点ミスをしたときの弾道もチェックすると、中空ヘッドの「APEX Ai300アイアン」がパフォーマンスの高さを見せた。「APEX Ai300アイアン」はトゥ側に外してもたったのマイナス2ヤードで収まり、ギア効果によるフックの度合いも抑えられた。一方で、ヒール側に外すとさすがに飛距離は落ちたが、スピンがむしろ増えているし、フェースがかぶって左に巻き込むような球が出ない。
この「APEX Ai300アイアン」は、アマチュアにありがちな地べたからの“薄い当たり”でも、大ミスにはならず。フェースのかなり下目なトップ気味の当たりでも初速の落ち込みが少ないし、打ち出しの高さが変わらずスピンが増えた。球がターゲット方向に飛んでいることからも、ミスショットとは言えない。
くっつく打感で程よく操れる「X FORGED STARアイアン」、
ハジき感があってミスを和らげる「APEX Ai300アイアン」
「X FORGED STARアイアン」と「APEX Ai300アイアン」を打ち比べた関は、ハッキリとした違いを感じたと言う。
「安定してスピンが入る『X FORGED STARアイアン』は、キャリーが出て止まりやすい弾道です。シンプルな軟鉄鍛造だけに“グシャ”というツブれ感があって、球持ちがいい打ちごたえ。操作性も程よくあります。また、ソールが薄めだし、前方と後方が大きく面取りされていて、ダウンブローに入れても突っかからずターフがしっかり取れるでしょう」(関、以下同)
一方の「APEX Ai300アイアン」は「APEX DCBアイアン」(2021年)の後継モデル。トゥ~ヒールの長さといいブレードの厚みといいソールの幅といい、サイズがあって安心感につながる。
「私はスタンダードな7Iで165ヤードなので『APEX Ai300アイアン』は25ヤード飛んだことになります。中空ならではのハジき感があり“ピシッ”という高めの打音ですが、音がすぐに収まって小気味がいいし、初速が出てる手ごたえ。グースが強めで緩やかなドローやストレートな球が打ちやすいですね」
「APEX Ai200アイアン」でとくに目立ったのが、芯を外したときの“補正力”だ。
「トゥやヒールに打点がズレたとき、通常のアイアンよりも球の曲がり幅が半分以下に収まるイメージです。しかも、フェース下目の薄い当たりでも、思ったほどミスになりませんでした。中空としてはこれ以上ない下目ヒットの強さで、ヘッドの入射角(上下の打点の違い)を問わず、安定して“いい高さ”の弾道が出ます」
この2モデルは、見た目やフィーリングの好み、適した技量や入射角、適度に操作したいか(X FORGED STARアイアン)、ミスを消してほしいか(APEX Ai300アイアン)、といった点で「同じロフト帯でも、タイプが違うアイアンです」と結論を述べた。
次はAPEX Ai200アイアンとX FORGEDアイアンを比較!
2モデルとも出だしが高くて、思いのほかミスショットに強い
続いて、アスリートに厚く支持される名器「X FORGEDアイアン」と、「APEXアイアン」(2021年)の後継モデル「APEX Ai200アイアン」を打ち比べつつ、弾道データを計測した。
ワンピース軟鉄鍛造のハーフキャビティ「X FORGED」は、良い当たりで171ヤードとアスリートが距離感を出しやすいアイアン。7I=33度というロフト設定もあり、打ち出しが高めでバックスピンがかかって飛びすぎないし、サイドスピンも適度に入ってドローやフェードが出た。それでいて、トゥやヒールに打点がブレても飛距離の落ち込みが少ない。
7I=30度と、今どきアイアンの標準的なロフトと言える「APEX Ai200アイアン」は、ナイスショットで177ヤードと程よい飛び。テストをした4モデルの中で打ち出し角が最も高くて、スピンが適度に入りキャリーが出る。そして、ドロー系の球質でターゲットへ飛んでいった。
トゥやヒールにミスヒットをしたときの飛距離ロスは抑えられたが、ヒール側に外したときはフックの度合いが大きめ、という結果に。
球筋を打ち分けやすい「X FORGEDアイアン」、
ドローをコントロールしやすい「APEX Ai200アイアン」
「X FORGEDアイアン」と「APEX Ai200アイアン」をテストした関は、こう補足する。
「『X FORGEDアイアン』は垂涎のソフトフィーリング。見た目がコンパクトだしオフセットが少なめで、スイングの意図がそのまま弾道として表れます。球をコントロールする技量がある人は、これ以上に楽しいアイアンはありません。トゥやヒールに打点を外したときは手に伝わりますが、弾道データを見ると許容性の高さに驚きました」
その「X FORGEDアイアン」ほどではないにしても「APEX Ai200アイアン」にも操作性があるという。
「すっきりしたルックスでリーディングエッジが丸いので、見た目からコントロール性が演出されているのでは。ただし、オフセットがついて球がつかまりやすいので、キホンはドロー系が打ちやすい。つまり、ドローの“強弱”を打ち分けやすいということです。
左右のミスヒットの寛容性もありましたが、上下の打点ブレには『APEX Ai300アイアン』と変わらない“補正力”の高さがあります。打感は『Ai300』とほぼ一緒ですが、ハジき感がやや抑えられていました」
打ち比べた2モデルは、近い系統ではあるが「見た目と打感、スピン量や飛距離に違いがありました。また、ドロー系を打ちたいか(APEX Ai200アイアン)、左右に打ち分けたいか(X FORGEDアイアン)、というすみ分けがあるでしょう」と分析する。
中空、鍛造、AI……テクノロジー満載のパフォーマンス系アイアン
テスターの関氏が「機能性をとことん追求したアイアン」と感じた「APEX Ai200アイアン」「APEX Ai300アイアン」は、そもそもどういうモデルなのか。
前作はキャビティだったが、新作は中空構造にしてパフォーマンス(機能性)を追求しながら、バックフェースがマッスルバックのようなシンプルなデザインとなった。
ボディは軟鉄鍛造で、フェースは強度と反発性が高いカーペンター455スチール(鍛造)を用いて初速がUP。ボディもフェースも鍛造にしつつ、中空内部のフェース裏側には余計な振動を抑えるウレタン・マイクロスフィアをインサートして、打球感を求めた。
テストを通してわかった、ミスヒットをしたときの“補正力”の高さについては、中空構造であることに加えて「APEX」シリーズで初めて「Aiスマートフェース」を導入した効果と言える。モデルごとに想定ゴルファーの打点分布などを数多くインプットして、AIがスピン量と打ち出し角を適正化しつつ、前作を上回る初速をもたらす。
見た目も性能も満足したい、欲張りなニーズをたっぷり詰め込んだ
「APEX Ai200アイアン」「APEX Ai300アイアン」を打ち終えた関は、こうまとめる。
「どちらのアイアンも、プロモデルのようなカッコいい雰囲気がありながら、球の上がりやすさやつかまり、飛距離、寛容性が調和されていました」
それでは2モデルを比べると、どういう違いがあるのか?
「『APEX Ai200アイアン』のほうが、ブレードが薄めだしコンパクトに見えます。こういうシャープなタイプでオフセットがしっかりついてるアイアンはあまりありませんが、実はニーズが多いかもしれません。アベレージのエンジョイ派から、上昇志向がある熱の高いゴルファーに持ってこい。90台後半から80台前半の人に合うでしょう。
対して『APEX Ai300アイアン』のほうが、ブレードが厚めだし大きめに見えて安心感アリ。打ってみると“お助け感”がスゴくあるオートマチックなタイプです。かといって“ボテッ”とした感じじゃありません。とにかくスコアを出したい、結果が欲しいという人に◎。100切りを目指す人から80台後半の人にオススメですよ」
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