OPUSウェッジとJAWS RAWウェッジ、スピン量に差はどのくらい出るのか?
「新しいOPUS(オーパス)ウェッジとJAWS RAW(ジョーズ ロウ)ウェッジとの性能を比較検証しますが、まず断っておきたいのは、JAWSシリーズはウェッジとしての完成度が相当高いということ。アマチュアの方とラウンドした時に、びっくりするくらい止まる人はJAWSシリーズのウェッジを使っていることが多く、ウェッジが苦手な人もJAWSシリーズ ウェッジのWグラインドに救われている方がこれまた多いのです」
と、いきなりエクスキューズから始まった比較検証。石井プロの言うとおり、多くのツアープロが使うJAWSシリーズ ウェッジの性能と人気は折り紙付き。しかし、新作を出すからには前作を上回る何かがあるはず。ということで、まずは見た目の印象から比べてもらった。
「完成度が高いJAWSからシリーズ名を変えた新製品OPUS(オーパス)。純粋に見るのも打つのも楽しみでしたが、見た感じはすごく洗練された印象です。アドレス目線で見ると顔の作りは相変わらずきれい。どのソールタイプもスッキリして構えやすいです。ノーメッキフェースのJAWS RAWに対してOPUSはメッキですが、すごくきれいな仕上がりです。全体の調和がとれていて風景にも溶け込むので、これならメッキでいい、と見た瞬間に思いました。また、ここ数世代のキャロウェイのウェッジはスコアラインがヒール側に寄った感じで、正直、その分トゥ側が大きく見えるのが気になっていたのですがオーパスではそれが払拭されています。どう変えたのかはわかりませんが、初見でもスッと構えられました。僕は手のひらでボールを投げるようにアプローチしたいのですが、構えた時点でそのイメージが湧きましたね」
ティアドロップが強調されたヘッド、やや丸みをもったリーディングエッジ、ホーゼルからフェースにかけての滑らかな流線形は、多くのツアープロの意見を収集・反映させたもの。プロトタイプの製作を重ねること6回目でこの形状にたどり着いたというもの理解できますね。
ピンまで30ヤードのフェアウェイ。
OPUSは打ち出しが低めで初速が遅い
※両ウェッジともロフトは56°のSグラインドを使用
では、打った感じはどうなのか?
「打感についてはOPUSの方がフェースにしっかり乗る感じがあります。フェースにボールが乗る余裕があるというか間が持てます。一方、JAWS RAWの方はカツッと当たってソリッド感があります。これはノーメッキとメッキの違いというよりはヘッドの違いによるものだと思います。好みが分かれそうですが、OPUSは軟らかくて深みのある打感です」
今回はJAWS RAWとの違いをより鮮明に炙り出すべく、フェアウェイに加え、深いラフと芝が湿ったライからも打ってデータを取った。まずはフェアウェイから。
「初速が遅いと感じました。アプローチでは出球がパーンと行って飛ぶとやりづらく、ゆっくり飛ぶとコントロールしやすいのですが、JAWS RAWに比べるとOPUSは、ロフトを立てても寝かせても自分の感覚より出球がちょっと遅め。それもスピン量の過多ではなく飛球レベルの違いなので安心感があります。出球は全体的に低めで距離感を出しやすい。ピンが近いグリーンエッジからなどで使う時に、飛ばない安心感があるのは大きいですね」
フェアウェイからのスピン量の比較は、甲乙つけがたいものだった。ピンまで30ヤードの位置からだと、どちらも安定して3800回転前後のスピンが入る。ピンまで50ヤードくらいの距離でも、両者の差は200〜300回転で安定して6000回転前後というものだった。ただ、石井プロが言うようにOPUSの打ち出しのほうが、JAWS RAWに比べてやや低い。それは見た目にも明らかだった。
深いラフからのスピン量と打ち出し角を比較
「深いラフではOPUS、JAWS RAWとも甲乙つけがたいですね。見た目も打感も違うのに、双方ともすごくスピンがかかります。ただ、同じ感覚で打ってもOPUSの方がスピン量が多いというデータが取れたので、スピンを欲するなら迷わずOPUSを選択することになるでしょう」
【JAWS RAW 56度 / Sグラインド】
初速:17.4m/s 打ち出し角度:38.1度 スピン量:3325rpm
【OPUS 56度 / Sグラインド】
初速:16.6m/s 打ち出し角度:37.7度 スピン量:3760rpm
芝が湿ったライからスピン量と打ち出し角を比較
「湿った芝のライ打った場合も深いラフと同様、OPUSの方がスピン量が多く、出球も低いというデータが取れました。芝が湿ったライでアプローチするとスピンが減るという認識は薄いかもしれませんが、20ヤード打ったつもりがフライヤーっぽくなって飛んでしまった時に自分の技量のせいだと思ってしまったら損です。事実、JAWS RAWとOPUSではスピン量が違っていますから、そのへんも考えて選ぶとアプローチが違ってくると思います。ついでに言うと、WやSなどソールが広めのモデルだと接地した時に泥がバーンと飛び、CやTの方がスパーンと抜けます。僕は後者が楽でした」
【JAWS RAW 56度 / Sグラインド】
初速:17.9m/s 打ち出し角度:36.8度 スピン量:3347rpm
【OPUS 56度 / Sグラインド】
初速:17.1m/s 打ち出し角度:35.3度 スピン量:3943rpm
スピン性能を左右するフェースの溝は従来の37Vの進化版ながら、溝のピッチを狭くしてジョーズよりスコアラインが2本増えて17本になった。そこにスコアラインの間に刻まれた繊細な溝が加わり、フェース面のブラスト処理もグレードアップされた。スピン量のデータでオーパスに軍配が上がったのはそのせいで、とりわけ悪コンディション時に威力を発揮できる仕様になっているという。
いろいろなところが”ちょとずつ・確実に”進化している
「JAWS RAWとOPUSの違いをまとめると、OPUSは着実に正統進化を遂げています。ただ、ウェッジはドライバーなどと違って“革新的に初速が出る!” みたいになったらダメで、基本的にはいつもと同じ感覚で使いたい。いろいろなところがちょっとずつ進化していて、使ってみたら前に戻れなかった、という差があればいいのだと思います。例えばJAWS RAWにもOPUSにもWというグラインドがありますが、ボリュームも丸みもあったJAWS RAWに比べて、OPUSはシャープで使いやすいWになっています。おそらく硬い地面や砂が薄いバンカーで弾かれる、といった声を反映させて、使いやすく進化させているのでしょう。そんな違いを実感できるのがOPUS。打ってみる価値ありです。確実に言えるのは、環境が良くない状態で助けて欲しい時に、“安心してください”と言ってくれるウェッジだということです」
スピン性能は言わずもがな、打ち出しの低さや、よくない状況からでも寄せやすいなど、アプローチのディテール部分をきめ細かくカバーしてくれる。OPUSはそんなウェッジのようだ。
OPUSスペシャルサイトはこちら