今回比較した番手は4Hで、ヘッド体積は「ELYTEユーティリティ」が113㎤、「ELYTE Xユーティリティ」が119㎤、「ELYTE MAX FASTユーティリティ」が118㎤と、「ELYTEユーティリティ」が一段小さい設計となっています。ただし、3つのモデルを並べて上から見てみると、じつはあまり差を感じません。よく見れば、「ELYTE Xユーティリティ」と「ELYTE MAX FASTユーティリティ」がやはり全体に少し大きいかな? という感じです。いずれも安心感がありつつ、大きすぎることはなく、ラフでも積極的に使っていけそうなサイズ感です。
フォルムとしては、「ELYTE Xユーティリティ」がやや特徴的で、ヘッド上面のヒール側からトウ側にかけて、徐々に上がっているような形状をしています。この見た目により、ボールを包み込んで、つかまえてくれそうなイメージが湧いてくる方もいらっしゃるかもしれませんし、3モデルのなかでもっともフェースの高さがあるようにも思うかもしれません。ただし、それも3つのモデルを比較しての話であり、総じて形状はシャローな範囲に収まっていると言えます。とてもやさしくボールを拾っていけそうです。
比較写真では3モデルが揃っていますが、試打可能な「ELYTE Xユーティリティ」がまだなかったため、実際に打ってみたのは、「ELYTEユーティリティ」と「ELYTE MAX FASTユーティリティ」になります。さっそく、何も意識せず自然にスイングしてみると、どちらのモデルでも同じような力強い弾道と飛距離が、1球目から続きました。球筋はほぼストレートで、とても簡単なユーティリティという印象です。簡単だから、さらに何も考える必要がなくなって、もっと自信を持って振っていける──。そんな好循環が生まれるような気もしました。
簡単さを感じさせるいちばんの要因は、ボールの上がりやすさにあるように思いました。先述のようにどちらも番手が4H(ロフト角は「ELYTEユーティリティ」が22.0度、「ELYTE MAX FASTユーティリティ」が21.0度)ということもありますが、それにしてもボールが楽々と高く飛び出してくれます。クラブの説明をしながら、一緒に打ってくれたキャロウェイのプロダクト担当、石野翔太郎さんも思いは同じだったようで、「ナチュラルにドーンと上がってくれます。これならグリーンでもちゃんと止まってくれそうですね」と語っていました。
これには、今回、ヘッド後部のトウとヒールに新たに搭載された、ステンレススチール製のウェイトが関係しているのでしょう。ヘッドの深い重心により、球が上がりやすくなっているのは間違いなく、石野さんも、「ウェイトが、後ろから球を押してくれる力強さを感じます」と言います。これならば、よりロフトが立った3Hでも、気持ちの良い高弾道がやさしく手に入るのでは、と思いましたし、もう少し時間があれば、「ELYTEユーティリティ」のロフトをアジャスタブルホーゼルで調整してみたかった、という気持ちにもなりました。
なお、筆者とは異なり、石野さんの弾道は、「ELYTEユーティリティ」と「ELYTE MAX FASTユーティリティ」で少し違いがあったようで、「ELYTE MAX FASTユーティリティ」のほうが、「若干つかまり度合いが高いかなと思いました。ドローやフックが多い印象でした」とのこと。こういう場合に役立つのが、先ほども書いたアジャスタブルホーゼルとステンレススチール製のウェイトで、ライ角を替えたり、トウとヒールのウェイト(初期設定はヒールが3g、トウが13g)を入れ替えたりすることで、ボールの曲がり方や打ち出し方向も変えることができます。この幅広いフィッティング機能は、「ELYTE」のユーティリティを開発するうえで重要視された部分の1つで、今回のアジャスタブルホーゼルでは、ライ角の設定パターンが増えた、「ニューオプティフィット4」と呼ばれるものに進化してもいます。石野さんは、「ウェイトを入れ替えることでも、かなり振り感は変わってきますし、ライ角を変えても、ボールのつかまりが良くなったり、つかまり過ぎを抑えたりすることもできます。その点、今回は調整の幅がかなりありますね」と、説明してくれました。
弾道や飛距離性能とともに、クラブを選ぶ際の重要な要素となる打感や打音は、「ELYTE」のアイアンのときのように、「感動的だった」とまでは言いませんが、ユーティリティにおいても前作のPARADYM Ai SMOKEシリーズから、さらに良化しているように感じました。フェース素材はカーペンター455スチール、ボディの素材は17-4 ステンレススチールと変わっていませんから、今回導入されたAi 10x FACEの設計が違いを生み出しているのかもしれません。とても気温の低いなかのテストでしたが、手や耳に残る感触と音は、とても心地良いものでした。
もちろん、何も考えることなくスイングして良い球が出ていたのですから、振り心地も悪いはずがありません。とくに、「ELYTE MAX FASTユーティリティ」のほうは、接着型ホーゼルの採用などによりヘッドを軽量化し、組み合わされているシャフトも軽量タイプのため、どのようなフィーリングなのだろうかと思っていましたが、まったく違和感はありませんでした。ヘッドとシャフトのマッチングが良いようで、物足りなさなどを感じることもなく、最後までスムーズに振っていけました。これならば、筋力がやや足りないという方だけでなく、パワーは普通にありながら、「いまよりも飛距離を出したい」といった思いを持つ方も含めて、比較的幅広いゴルファーの選択肢になり得るのではないでしょうか。
「ELYTE」のユーティリティは、2月14日から順次発売の予定となっています。詳細は、キャロウェイ オンラインストアでチェックしてみてください。次回は、残る1つとなった、「ELYTE」シリーズのフェアウェイウッド試打レポートです。ぜひ、こちらもご覧ください。
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