「ELYTE」のフェアウェイウッドには、「ELYTEフェアウェイウッド」「ELYTE Xフェアウェイウッド」「ELYTE MAX FASTフェアウェイウッド」「ELYTE ◆◆◆フェアウェイウッド」、そしてフルチタン仕様の「ELYTE TITANIUMフェアウェイウッド」の5モデルがラインアップされていますが、今回テストしたのは最初の4種類です。いずれにもトライアクシャル・カーボンクラウンが採用されており、「ELYTE MAX FASTフェアウェイウッド」のみ接着型ホーゼル仕様となっています。
まずは、構えたときの見た目から。4つのモデルすべて、昨年モデルのPARADYM Ai SMOKEシリーズからフォルムを引き継いでおり、「ELYTEフェアウェイウッド」はPARADYM Ai SMOKE MAXフェアウェイウッドのように、安心感がありながら大きすぎることもない、きれいな丸い形状で、「ELYTE Xフェアウェイウッド」「ELYTE MAX FASTフェアウェイウッド」は全体的に、より大きいサイズです。ただし、3つを並べて比べると、その差はそれほどなく、「ELYTE Xフェアウェイウッド」「ELYTE MAX FASTフェアウェイウッド」も、程良い大きさと言えるもので、構えやすい印象です。4モデルのなかで大きく違うのは、やはり「ELYTE ◆◆◆フェアウェイウッド」で、洋ナシ型のシュッとした形状は、いかにもプロ、上級者向けという精悍さを放っています。
「ELYTEフェアウェイウッド」「ELYTE Xフェアウェイウッド」「ELYTE MAX FASTフェアウェイウッド」は、いずれもとてもシャローな設計となっているため、地面に張りついているようにも見え、とてもボールを拾いやすそうです。この形状であれば、自分でボールを上げようとしたりする意識を持たずに、自然と払い打っていくことができるのではないでしょうか。なお、この3つをさらに細かく比べてみると、「ELYTE Xフェアウェイウッド」と「ELYTE MAX FASTフェアウェイウッド」のほうが、「ELYTEフェアウェイウッド」よりもフェースの高さがあるようにも見えました。ただそれは、石野さんいわく、「フェースの高さがクラウンの後方まで長く続き、最後に落ちていく形状なので、そう見えるのでは?」とのこと。たしかにフェース面側から比較すれば、厚みに大きな違いはありません。一方、「ELYTE ◆◆◆フェアウェイウッド」は、明らかにディープフェース。スキルの高い人にとっては、ボールに厚く入れたり、薄く入れたりして、球筋をコントロールするといったこともしやすそうです。
構えたときの感覚という点では、今回、全モデルで導入されたステップ・ソールデザインにも触れておかなければいけません。2022年登場のAPEX UWのようにソールに段差が設けられて、ソール後方が浮いたようになっている設計です。ヘッドの抜けを良くしたり、ソール後部が地面で跳ね返って打点がバラつくことを抑えてくれたりします。一方、このデザインにより自ずと気になってくるのは、ヘッドの座りです。アドレスでセットしたときにグラついたり、フェースが開いたりしそうにも見えます。しかし、チェックのためにヘッドを芝に置いてみると、「うまく考えて設計されていて、フェースが右を向いたりしないんですよ」という石野さんの言葉どおり、余計な動きはせず、しっかりと安定します。これなら、とても構えやすく安心です。
実際の試打は、「ELYTEフェアウェイウッド」から「ELYTE Xフェアウェイウッド」「ELYTE MAX FASTフェアウェイウッド」「ELYTE ◆◆◆フェアウェイウッド」の順で行っていきました。スキルの問題で、もちろんダフリや大きなミスショットも出ましたが、「ELYTEフェアウェイウッド」ではストレート、もしくはわずかにフェードといった弾道が多く、「ELYTE Xフェアウェイウッド」「ELYTE MAX FASTフェアウェイウッド」ではストレート、もしくはややドロー。「ELYTE ◆◆◆フェアウェイウッド」は先の3モデルよりも強い打ち出しからストレート、もしくは少しフェードといった弾道となりました。
筆者に続いて、石野さんにも打ってもらいましたが、「ELYTEフェアウェイウッド」は、「基本的にストレートで、ドローにもフェードにもコントロールしやすい感じもあります」という感想で、「ELYTE Xフェアウェイウッド」「ELYTE MAX FASTフェアウェイウッド」に関しては、「ナチュラルに振ると、自然にドローがかかる印象」。「ELYTE ◆◆◆フェアウェイウッド」は、「やはり、強めの中弾道でストレートでしたね」というコメントでした。
振りやすさについては、シャフトにもよるのでしょうが、全モデル(純正シャフト)でとても好ましく感じました。なかでも「ELYTE MAX FASTフェアウェイウッド」は、「ELYTEフェアウェイウッド」よりもクラブ重さが約30g軽くなっており、シャフトだけが軽くて、変にヘッドが重く感じたりするのではないかと思っていましたが、ユーティリティのときと同様、杞憂でした。シャフトとヘッドの重さのバランスがちょうど良く、スムーズに振り抜くことができました。
「ELYTE」のフェアウェイウッドでも、ドライバーと同様、弾道を補正してくれる、フェース上の場所、コントロールポイントが大幅に増加したAi 10x FACEが採用されていますが、この効果については、実際にコースで球数を打ってチェックしてみたいところです。ただ、先ほど書いたような大きなミスショットでも、実際のホールの幅から外れるような球にはならず、たとえば大きなスライスだと思った当たりが、それほど右には行かなかったという印象がありました。
また、強弾道の「ELYTE ◆◆◆フェアウェイウッド」も含めて、すべてのモデルでボールの上がりやすさも感じました。フェース下目に当たったと思ったボールでも、充分な高さで出ていき、手に響くような感触もありませんでした。これは、Ai 10x FACEの補正能力に加えて、今回、ソール前部に初搭載されたタングステン・スピードウェーブも非常に効いているということなのでしょう。タングステン・スピードウェーブは、従来のウェイトのようにソールに密着しておらず、大部分がソールから浮いたような状態で搭載されているため、フェース下部のたわみを阻害することがありません。これにより、しっかりと高さが出るだけでなく、トップに近い打点であっても打感が悪くならないのではないでしょうか。
ひとしきりフェアウェイのような状態の場所で打ったあとは、ラフでも打ってみました。先述のステップ・ソールデザインにより、深い芝でもヘッドがスムーズに抜けるのかどうかをチェックです。冬の枯れた芝ではありますが、筆者が置いたボールを石野さんがあえて深く押し込み、かなりハードなライに。それでも、「ELYTEフェアウェイウッド」のW#3をスイングすると、さすがに芝が短い場所での弾道ほど力強くはありませんが、しっかりとボールが上がって飛んでいき、ヘッドもフォロースルーにかけてうまく抜けてくれました。筆者は普段、よほど浅いところでない限りは、ラフでスプーンを使うことはなく、ショートウッドやアイアンを選択しますが、これなら充分に選択肢に入ると感じました。
石野さんにも同じようなライで打ってもらいましたが、ナイスショットを連発。「フェアウェイのようなライでも抜けが良いと感じていましたが、ラフでも抜けますね。自分も、あんなに埋めて大丈夫かなと思ったんですけど(笑)。普通に打って抜けてくれるので、2回目以降は、より鋭角に入れようとかいったこともなく、ただボールがフェアウェイにあるのと同じように打てましたね」と、あらためてステップ・ソールデザインの効果を実感した様子でした。
最後に、「ELYTE」シリーズのフェアウェイウッドで何より感銘を受けたことを挙げるとするならば、アイアン同様に打感と打音の良さでしょうか。自分で打っても爽快でしたし、石野さんのショットを見ているときも、「音がとても耳に気持ち良い」と感じました。4モデルのなかで比較すれば、「ELYTEフェアウェイウッド」「ELYTE Xフェアウェイウッド」「ELYTE MAX FASTフェアウェイウッド」が同等レベルで、さらに一段、心地良く感じたのが、「ELYTE ◆◆◆フェアウェイウッド」でした。わかりにくいかもしれませんが、言葉にするならば、「クシュッ」という感じで、ズシリと重いフィーリングではなく、とても軽い手応えです。しかも、軽いからといって、ボールをただ弾いているという感覚でもなく、フェースへの食いつきもしっかりと伝わってきます。今回の4モデルのW#3は、「ELYTE MAX FASTフェアウェイウッド」でソールの一部にカーボンが使用されていること以外、素材や構造に大きな違いはありませんが、石野さんは、「◆◆◆はディープフェースなので、少したわみ方が異なるということなのかもしれません」と言います。同時に、モデル別設計となっているAi 10X FACEも関係しているのかもしれません。
「ELYTE」のフェアウェイウッドは、2月7日以降、順次発売となります。ぜひ、詳細をキャロウェイ オンラインストアでチェックしてみてください。
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